チャリ通は常に向かい風…もちろん人生も!

ひとり親の子育て/テキトー料理レシピ/アホ小説/ボクシング&格闘技/ダイエット(減量)/指定難病と過去のうつ病…ほか・・ごゆるりと♬

連載アホ小説 最終話 『ご安全にっ!』

連載アホ小説

ガードマン味玉のFunnyな1日♬

 

最初から読みたい人はコチラから♬

 

第1話 『漢の闘い』

第2話 『闘いの後には』

第3話 『みっちゃんとマキさん』

第4話 『焦げとヤマトと満月と』

第5話 『あゝ愛しの権田原』

第6話 『無差別級負傷者搬送』

第7話 『浅草駅前留学』

第8話 『走レ!エロス』

 

 

 

前回までのあらすじ

ガードマン味岡玉夫(通称味玉)は、東北出身ガードマン 赤鹿とともに浅草の道路工事現場に配置された。外国人に人気のゲストハウスからほど近いその現場は、ムチムチプリンのフォーリンガール達が闊歩するパラダイスだった。

しかし、JK好きの赤鹿は不満顔である。ようやく修学旅行のJK集団が現れるも、昼休憩に入っていた赤鹿はナマJKを拝むことはできず、味玉が撮影したスマホの動画でそれを楽しんだのだった。

そんな現場もいよいよ工事最終日を迎える。

次はどんな現場でどんなアホな出来事が巻き起こるのやら…

『ガードマン味玉のFunnyな1日♬』最終話をお送りします。

 

 

最終話  ご安全にっ!

 

 

「じゃぁ、あと道路洗ってお終い。ちょっと早いけど先に伝票サインするから、掃除が終わったら上がっちゃっていいよ。味岡くん、赤鹿さん、お疲れ様でした」

 

 

ひと段落して休憩している味玉と赤鹿の元に、巨漢のくまモン監督が現れ言った。ヒゲをなでながらニコニコ顔だ。

 

 

まだ午後の2時過ぎだが、工事最終日とあって、今日は資材の引き上げや、水道局の検査に備えたマンホールの洗浄など簡単な作業だけで終了した。

 

 

水道管の移設や障害物の撤去などの予備工事は終了し、いよいよエレベーター新設の本工事が始まるのだが、乗客への影響を鑑み工事は終電から始発までの夜間に行われる。

 

 

日勤組の味玉と赤鹿は、ひとまずお役御免だ。

 

 

「あゝ…夢の浅草生活も今日で終わりか…名残惜しいが仕方がない。ありがとう浅草フォーリンガール達よ…(T ^ T)」

 

 

「けっ!オラァこんな現場もう懲り懲りだぁ、じょす高生がいないんじゃハナシになんねぇっぺ!」

 

 

赤鹿が赤ラークに火をつけ言った。

結局赤鹿がJKのナマ足を拝めたのは、例の味玉の動画のみだ。

しかし…

 

 

「またまたぁ、ここはここで楽しかったじゃん。監督もいい人だったしさ。それに赤鹿さん、ちゃっかりパツキンボインちゃんチェックしてたじゃないすか、カタコトの英語で話しかけたりしてさ」

 

 

「う!…そ、そらおめぇ、日本のおもてなしだっぺよ!何しろオラァ日本を代表するガードマンだからよ。それに英語も高い授業料払ってフィリピンパブで散々勉強しただぁよ、ここで使わんでどこで使うだぁ」

 

 

「はいはい…それよりチャッチャと終わらせちゃいましょ、そんでもって一杯やりましょうよ、例の焼き鳥屋でも行ってさ」

 

 

「んだな、ま、とにかく無事に無事故で終了だ、仕上げるっぺ!」

 

 

 

道路を水洗いし、帰り支度を済ませたが、まだ午後3時にもなっていない。

 

 

天気もいいので焼き鳥屋が開くまで、隅田川のほとりで時間を潰すことにした。缶ビールを買い込み、川沿いの遊歩道に降りて目についたベンチに腰を下ろす。

 

 

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犬を散歩する老婦人

ジョギングする若者

ベビーカーを押す人妻などが時折通る。

長閑だ。

 

 

「橋っていいよな…」

 

 

独り言ともとれるように赤鹿がつぶやいた。

味玉は、左右に見える橋にゆっくりと目を向けた。

 

 

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 赤鹿が続ける。

 

 

「ガキん頃な…小学校の通学路に新しい橋を架ける工事が始まったのさぁ」

 

 

「へぇ…」

 

 

「大した橋じゃねんだがな、ガキだったからかなぁ…随分でっかい橋に感じてよ…着々と進む工事が面白くてなぁ、学校の帰りにずうっーと眺めててよ『早よ帰ってこい!』って毎日おっかぁに怒られたもんだ」

 

 

「はは…あるよね、そういうこと」

 

 

「出来上がった時は、なんだか自分がその橋を作ったような気がしてよ、嬉しかったもんだ…何しろその橋のお陰で学校さ行く時間が20分くれぇ短くなったでよ」

 

 

「ふぅん…」

 

 

「橋っていいよな…

 

ひとりじゃ辿り着けない場所も

橋の助けがあれば自分の足で歩いていける…

 

両親     未来へ導く大きな存在

 

恋人     天国へ誘なう癒しの泉

 

盟友     夢に向かえた友の存在

 

俺もなりたい

誰かの橋に…」

 

 

 

赤鹿は目を細め、遠く橋に視線を向けている。

 

 

「赤鹿さん…」

 

 

「ん?」

 

 

「キモいんですけど」

 

 

ばっ、馬鹿野郎!このポエムの素晴らしさが分かんねか?これだから今時の若いモンは!」

 

 

「あははのは!赤鹿さん耳真っ赤!それより行きましょ、そろそろ焼き鳥屋開くんじゃないすか?」

 

 

 

地下鉄を乗り継いで例の焼き鳥屋に来た。

準備中の看板が下がっているが、それには構わず、建てつけの悪い引き戸をガタガタとこじ開けて店に入った。

 

 

「こんちわマスター。生ふたつね…あ、やっぱ1つは生じゃなくて軽く炙ってちょ!」

 

 

味玉がいつもの軽口を叩く。

 

 

「はぁ?何言ってんだよ、表の看板が見えねぇのか?まだ準備中だよ」

 

 

カウンターの中、広げた東スポの向こうから不機嫌そうな親父の声が聞こえる。構わず座敷に腰を下ろし、リュックを下ろしながら味玉は親父に言う。

 

 

「客の注文聞いてから材料仕入れに行く店に何の準備がいるってんだよ。こんな店に来る客なんて俺らくらいなんだから大事にしないとバチ当たるよ。あ、それとなんでもいいからテキトーにツマミね」

 

 

 

何やらブツブツ文句を呟きながら生ビールを出し、カウンターの奥でゴソゴソしていた親父が、ようやくツマミを持ってきた。

 

 

「は?…ナニコレ?」

 

 

「何これって、見りゃ分かんだろ。『たけのこの里』だよ」

 

 

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「そんなことは、それこそ見りゃ分かんだよ。いくらなんでもコリャねぇだろ、しかも箱ごと…せめて皿に盛れよ」

 

 

「お客さん…イチャモンなら他所でつけてくんな、ホレ」

 

 

親父がしゃくった顎の先にある黒板メニューには

本日のおすすめ品『たけのこの里』美味しいよ!

と書いてある。

 

 

(くそっ!いつの間に…)

 

 

しかし、味玉と親父のやり取りを尻目に、赤鹿は嬉々としてパッケージを開けながら

 

 

「いいじゃん!いいじゃん!オラァ『たけのこの里』大好物だぁ。分かってるねぇマスター!」

 

 

 

あ、赤鹿さん…

( ̄▽ ̄;)💧

 

 

ま、いいか…

 

 

ビールから焼酎にスライドした赤鹿が、たけのこの里を貪り喰いながら味玉に尋ねる。

 

 

「味玉くん、そういや下番報告(※業務終了の報告)したっけか?」

 

 

「あ、忘れてた。明日からの現場も確認しなきゃだし…電話してみますわ」

 

 

携帯を取り出し、管制の長谷部に電話をかける。

 

 

「あ、もしもし、味岡です。浅草の現場無事終了しました。定時下番で。赤鹿さんも一緒です」

 

 

「おつかれさま〜!監督さんが、ふたりとも良くやってくれたって言ってたよ〜!あんがとね〜♬」

 

 

「あ、そりゃどうも…しかし、随分ご機嫌じゃないの長谷部さん。どうせ、また何か企んでるんでしょ?」

 

 

「いやいや、企むなんて人聞きの悪い。味岡くんには明日から始まるすんごいオイシイ現場に行ってもらいたいんだよねー」

 

 

「どうせまたロクでもない現場なんだろ。どこのなんて現場?」

 

 

長谷部が言うには、地下鉄のホームで旅客誘導をするらしい。地下なので雨風もしのげるし、空調も効いているから暑さ寒さも問題ないと言う。(確かにオイシイかも…)と思った味岡は、その現場を引き受けることにした。

 

 

「んで、赤鹿さんは?」

 

「赤鹿さんには、また別の現場で隊長やって欲しくてさ。詳しくは本人に説明するから電話変わってくれない?」

 

 

赤鹿に電話を渡し、味玉はトイレに立った。

用を足して戻ると、携帯を脇に置いた赤鹿が甘いはずの『たけのこの里』を苦虫を噛み潰したように貪り食っていた。

 

 

「どうしたんだよ赤鹿さん。フン詰まりの仁王さんみたいな顔してさ」

 

 

聞けば、オリンピックの渋滞緩和のため有明から築地まで橋を架ける工事が近々始まるそうで、赤鹿はそこに配置されるらしい。

 

 

「すごいじゃん赤鹿さん!世界中から集まってくる観光客のために大好きな橋を架ける工事だなんて!良かったね!」

 

 

しかし赤鹿は渋い顔で言った。

 

 

「うんにゃ、有明にも築地にもじょす高はねぇだ。そんな現場行ってもつまらね。断りたかったけんど他もロクな現場でなかったから仕方なく受けただ」

 

 

 

あ、赤鹿さん…

( ̄▽ ̄;)💧

 

 

赤鹿は残っていた『たけのこの里』を忌々しそうに毟り取ると口に放り込み、喰いカスを撒き散らかしながら叫んだ。

 

 

「マスター!焼酎お湯割もう一杯!あと『きのこの山』ちょうだい!」

 

 

 

「馬鹿野郎っ!!焼き鳥屋に『きのこの山』なんか置いてるわけねぇだろっ!ふざけたこと抜かしてっと脳味噌串で刺して塩で焼くぞ!」

 

 

 

マスターのあまりの剣幕に気圧された赤鹿は、途端に大人しくなり答える。

 

 

「あ…え?…でも、たけのこの里…すんませんですた…じゃ、あるものなんでもいいのでください」

 

 

「ふん!分かりゃいいんだよ…ホレ、これでも食っとけ」

 

 

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『コアラのマーチ』が出てきた。

 

 

( ̄▽ ̄;)💧

 

 

マスター…

さてはパチンコ行ったな。

 

 

 

( ´Д`)y━・~~

 

 

恋愛成就がどうの、激レア絵柄がどうの、ブツブツ言っていた赤鹿が、最後の1個のコアラを見て肩を落とす頃、味玉は言った。

 

 

「そろそろお開きにしましょう赤鹿さん。色々お世話になりましたね。明日から別々の現場だ。どっちの現場も工期は結構長そうだから、しばらく会うこともないだろう」

 

 

「んだな。味玉くん、身体に気をつけてな、あと事故にも」

 

 

「分かってるよ、赤鹿さんもね」

 

 

半分ほど残ったグラスを掲げ

ふたりは声を合わせた。

 

 

 

「ご安全に!」

 

 

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『ガードマン味玉のFunnyな1日♬』は、これで終わりです。

引き続き、Funnyな毎日♬Season2 が始まりますww

(≧∀≦)

 

 

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