味玉のシングルファーザー生活♬

ひとり親の子育て/テキトー料理レシピ/アホ小説/ボクシング&格闘技/ダイエット(減量)/指定難病と過去のうつ病…ほか・・ごゆるりと♬

三浦国宏 50男・規格外の就活 第3話『10日間の就活合宿〜拳の衝動〜』

※前回までのあらすじ

息子のKが元嫁の家に泊まりに行っている日曜日だけ』という条件で、寮付きの仕事を辞めてしまい寝る場所がないアマチュア史上最強のボクサー『三浦国宏』を自宅に招いた味玉。

三浦に、スマホを使った仕事探しのやり方を教えようとしたのだが、iPhoneしか触ったことがない味玉は、三浦とともにアンドロイドの前で固まり途方にくれる。

仕方なく自分のiPhoneで三浦に合いそうな仕事をいくつかピックアップしてメモにして渡した。

今日の現場である新宿まで自転車で行くために、先ずは昨日放置した自転車を取りに錦糸町まで歩いて行くという三浦。

果たして無事寮付きの仕事にありつけるのだろうか。

 

三浦国宏 50男・規格外の就活

第3話 10日間の就活合宿 〜拳の衝動〜

 

アレから2日後の火曜日

昼飯の弁当を食べ終えて、ブログでも見ようかとスマホを手にした時のことである。

まるで、それを見計らったように味玉の携帯が震え、三浦からの着信を告げた。



三浦国宏 50男・規格外の就活 第3話

三浦国宏からの着信が新たなトラブルの始まりを告げる

心なしか、バイブレーターの振動が、いつもと違う気がする。

不機嫌さと不安さが入り混じったような不安定な振動に感じる。

 

(もしかして仕事が決まったか?…まさかな、あの男に限って、そんなに上手く事が進むわけがない、今度は何だろう…)

 

「あー!味玉くん。いつも悪いですねぇ。今電話して大丈夫ですか?押〜〜忍♬」

 

「大丈夫じゃないけど…しょうがない。何ですか?仕事決まりましたか?」

 

いつもの通り…いや、むしろ、いつも以上に能天気な三浦の声 に(まさか本当に仕事が決まった知らせか?…)と淡い期待を浮かべながら聞き返す。

 

「あのねぇ、ちょっと聞きたいんですけど、東京のどっかにアイチって言う住所ありましたっけ?」

 

「え?東京でアイチ?…いや、聞いたことないですけど…でも、どうでしょうね、もしかしたらあるかもしれませんけど…何でですか?明日の現場が、そのアイチってとこなんすですか?」

 

「いや、それがですね…味玉くんがスマホで教えてくれた仕事の検索のヤツさ、僕も真似して、今やってるんですけどね。何回やっても愛知って住所の仕事しか出てこないんですよ。それも不思議なことに、車工場の仕事ばっかりなんですよね。何でですかねぇ…でもね、すごく条件がいいんですよ!寮付き賄い付きで40万円〜って書いてあるんですよ!もう、ここに決めようかと思ってましてねぇ」

 

殴りたい…

いや、ダメだ。

スリッピングされてカウンター食らう…

 

「あのねぇ…会長。それ東京じゃなくて愛知県ですよ。ア・イ・チ・ケ・ン!なんすかそれ!エリアを絞り込む時に「東京」じゃなくて「愛知」を選んだんじゃないんですか?…てゆーか、ボクが渡したメモの会社はどうしたんですか?まさか全部ダメだったとか?」

 

「いや、それがねぇ…」

 

「何ですか?まさかメモを無くしたとか、まるで漫画か小説のネタみたいにマヌケなこと言うんじゃないでしょうね」

 

「………」

 

マ、マジすかポリス!!何やってんすか…全く」

 

「おかしいんですよねぇ…確かにポッケにしまったはずなんですけどねぇ…」

 

殴りたい…

いやダメだ。

ガードされて、そのガードした左手でフックを返される…

 

「どうしましょう…愛知行ってみようかなぁ」

 

ダメです。未経験で車の組み立ての仕事なんか採用されるわけないですよ。おそらく年齢制限とかもあるだろうし。それに万がイチ採用されたとしても、その仕事はやっちゃダメです。ようやく落ち着いたリコール問題が、また世界の自動車業界を震撼させます」

 

「はぁ…なんでしたっけ?そのブラジャーみたいな問題って」

 

「ええ、ノーブラで自動車運転すると乳が揺れて運転しづらいですよって…そりゃワコールじゃーいっ!…ってね会長…アンタとこうやって遊んでるほどボクは暇じゃないんすよ…ブログも書かなきゃなんないし、Facebookのコメント返信したり「いいね」押したりしなきゃなんないし、こう見えて忙しいんですよ」

 

「へぇ、それが味玉くんの今やってる仕事ですか?なんか面白そうですねぇ。僕もやってみたいなぁ」

 

「い、いや、これは仕事じゃなくて、暇だからやってるだけで…いや、決して暇じゃないんだけど…あーーー!もう、めんどくさっ!もう1回だけ教えるから、今日仕事終わったらウチに来てください。わかりますよね?ウチの場所。道草食わずにちゃんと帰って来るんですよ。DVDも買っちゃダメですよ!」

 

「あいあい、わっかりましたぁ〜!じゃ、仕事終わったら電話しまーす!押忍!押忍!」(ブチっ!ツー…ツー…)

 

(あー…勢いでつい、言っちゃった…。ま、しょうがないか…)

 

ウチに帰り、一杯ひっかけながら夕飯の支度をしているとKが帰ってきた。

宿題の丸付けと明日の用意を終えたところでK に尋ねてみる。

 

「ねぇKくん。三浦会長って覚えてる?」

 

「うん!覚えてるよ。としかげ会長のことでしょ?」

 

「いやいや、としかげさんは木村会長。としかげ会長は、いま行ってるジムの会長で木村鋭景っていうの。三浦会長は、としかげさんのジムに行く前、Kくんが保育園の頃にパパとよく行ってたジムだよ」

 

「あー!思い出した。あの色んなボールで遊んでくれた人?」

 

「それはトレーナーの田中ちゃん。ボクの中学の同級生」

 

三浦国宏の経営するミウラスタジオにて

25年ぶりに偶然再会した中学の同級生田中ちゃん

「えーとじゃ、分かんないかも…」

 

「ホラ、メディシンボールを枕にするから首が90度直角に曲がったままリングで寝てたり…タグのついたままの帽子をかぶった上に、ビリビリに破いた拓大カラーのオレンジのTシャツを着て街をウロついたり…受付のカウンター席に座ってパソコンで仕事してるフリしながら熟女のエロ動画見てたりする、いつも酔っ払ってる変なおっさん」

 

「あー!あのいつも『押忍!押忍!』って言ってる変な酔っ払いね!アレが三浦会長なの?用務員のおじさんかと思ってた」

 

「いやKくん、それは用務員のおじさんに大変失礼だよ。取り消して謝りなさい」

 

「はぁい…ごめんなさい。で、その三浦会長がなんなの?」

 

「今日ウチに来るんだよ。お仕事の話をしにね。そんで、一緒にご飯食べようと思うんだけどどうかな?」

 

「うん、別にいーよ。なつかしーなー!ボクのこと覚えてるかなー!」

 

Kはそう言って、ソファに飛び乗り、ピョンピョン跳ねてる。

 

良かった…なんだか楽しそうだ。

いつもふたりきりの食事だから、やっぱり寂しいのかな?…

 

タグ付きの帽子をかぶるお茶目な三浦国宏

なんのアレですか?…( ̄▽ ̄;)💧

お気に入りの拓大カラーオレンジをアレンジする三浦国宏

お気に入りの拓大カラー「オレンジ」を「アレンジ」

 

KがリビングでYouTubeを見てる間に、寝室に行って元嫁に電話をかけた。

 

「あーもしもし?あのさ、ボクが前行ってたジムの会長で三浦国宏っていう、元オリンピック選手がいるんだけどさ、色々あって今泊まるところがないんだ、ちょっとの間だけウチに泊めてあげてもいいかな?」

 

「……Kは、なんて言ってるの?」

 

「Kは『いいよ』って言ってる。保育園の時に何度も会ってるし、知らない人ではないんだ。鍵は渡さないし、ボクがいない時に家に居させることはしない。もちろんKとふたりきりにもしないから。まぁ変な人だけど悪い人じゃないから、そこまで神経質になることもないんだけどね」

 

「分かった。でも、期限を切って…そうね、2月一杯で住むところ見つけて出て行ってもらって。それ以上は絶対ダメ」

 

「分かった。ありがとう」

 

よし。

これで当面の寝床は確保できた。

あとは、寮付きの仕事を一刻も早く見つけてあげよう。

 

そして、駅に着いたと電話があってから、いつまでたっても家に辿り着かず、盛大に道に迷った三浦を迎えに行き、夕食を済ませてテーブルに向かい合った。

Kは、風呂に入らせ歯磨きをさせて、いつもより早めに寝室へ向かわせた。

 

「いいですか?会長、いま言ったのがルールです。それでよければ2月一杯はウチに寝泊まりしていいです。あと10日しかないけど、その間 に新しい寮付きの仕事をなんとかして見つけましょう」

 

「分かりました。本当に申し訳ないですねぇ。よろしくお願いします」

 

ペコリと頭を下げ、やけに神妙な三浦に「少し強く言いすぎたかな?」と反省しながら席を外し、夕飯の洗い物をしにキッチンに向かった。

 

洗い物をしている間、三浦は何やらブツブツ呟いていたが、水道の水がシンクを叩く音と、食器同士がぶつかり合う音で、何を言っているかは所々しか聞き取れない。

適当に相槌を打っていると…

 

「おかしいなぁ…確かに、このポケットにメモをねぇ…ん?…アレ?」

 

「え?何ですか会長?」

 

ポッケをゴソゴソしていた三浦が何やら取り出し、叫んだ。

 

あああっ!!!」

 

!?…う、うるさいよ!…Kが寝てるってのに…なんなんですか?まさか無くしたメモがあったとかじゃないですよね?」

 

布巾で手を拭い、再びテーブルについて三浦に向かい合うと…

 

「吉野家さんの味付け海苔が出てきた…」

 

味付け海苔の袋を手にした三浦が、驚愕の表情で目を白黒させている。

 

な、殴りたい!

いや、もう殴ろう!

今なら酔ってるから当たるかもしれない!

 

味玉がそう思って、拳を握り締めた時、もっと味付け海苔がないかとポッケを探っていた三浦が再び目をまん丸にして味玉の顔を凝視した。

 

適当に写真を撮っていると全てがネタになる三浦国宏

適当に写真を撮っていると全てがネタになる三浦国宏

「あ…あった…」

 

そう言って、アホヅラで呆けている。

味玉は、あまりのバカらしさに力が抜けて殴る気力もなくなり三浦に言った。

 

「あのね、会長…いくら貧乏でも、ウチにだって海苔くらいありますよ。欲しいならあげますから持って行って昼の弁当と一緒に食べていいですよ…なんなら今食べますか?」

 

「いや。海苔じゃなくて、例のメモ」

 

「…は?…え?」

 

混乱する味玉を尻目に、三浦は、海苔とメモを両手でぶら下げて、嬉しそうにしている。

 

ポッケから吉野家さんの味付け海苔が出てきて嬉しそうな三浦国宏

ポッケから吉野家さんの海苔が出てきて嬉しそうな三浦国宏

 

( ̄▽ ̄;)💧

 

もう、どうでもいいや…

明日も早いし…寝よう…

 

こうして、味玉と三浦の『10日間の就活合宿』が始まった。

 

味玉はこの時『いま建築業界を始めどこも人手不足だし、選ばなきゃ仕事なんてすぐ見つかるだろう』と、安易に考え、このあと常軌を逸したトラブルが次々と巻き起こるとはツユにも思っていなかったのであった。

 

第4話に続く…

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