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恐怖のタワークレーン

 みなさん、おはようございます。

 

 

早速ですが私が昨日実際に体験した、これまでの人生の中で最も恐ろしく、そして絶望的な出来事をお話しします。

 

 

恐怖のタワークレーン

 

 

 

 

派遣されている建築現場

その日は翌日に迫ったコンクリート打設のため、ゼネコンのお偉いさん、設計、施主、第三者機関などで構成された一陣がやってきて「配筋検査」なるものを行うことになっていた。

 

 

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検査で不備が見つかり指摘されると、配筋をやり直さなければならず、大幅な手直しが必要だったり、いくつもの指摘が重なってしまうと、とても手間がかかる。

 

 

手直しが間に合わなければ、翌日のコンクリート打設が延期になってしまう可能性もあるので朝から現場はピリピリしていた。

 

 

鉄筋はもちろんだが、品質には直接関係がない現場内の整理整頓や清掃状態、安全通路上にモノが置かれてないか…等々、いつも以上に気を配らなければならないため、監督たちもそれらの点検に忙しく動き回っていた。

 

 

そんな中、金物屋から受け取った丸釘の小箱を倉庫にしまおうとしていた私に、現場監督が声を掛けてきた。

 

 

「あ、ちょうど良かった。悪いんだけどここに積んである鉄筋を産廃ヤードまで移動してくれない?ここに置いとくとマズいんだよね」

 

 

「え?…これをですか?嘘でしょ」

 

 

鉄筋は、太さ3cm長さは4mほどあり1本の重さは30kg近い。

 

それがざっと見たところ…30本はあるだろうか。

 

 

「勘弁してくださいよ。こんなの運べないですよ」

 

 

「いや、手で運べとは言ってないよ。タワークレーンを使っていいからさ」

 

 

「は?ちょっとなに言ってるか分からない」

 

 

タワークレーンを操作するには資格が必要である。

もちろん私はそんな資格は持ち合わせていない。

 

 

それにもし、持っていたとしてもガードマンとしてこの現場で働く私にとって、それは契約外業務にあたり、労働者派遣法違反になる。

 

 

万が一事故や怪我をしても労災が適用されるかも微妙だ。

 

 

「時間がないんだ、この通りだ頼む!操作は簡単だから…はい、これクレーンのリモコン。僕は他にやることあるから、じゃ頼んだよ!」

 

 

 

監督は、言い終わるや否や1工区の方へ駆けて行った。

 

 

(仕方ない、やるしかないか…まぁ、確かに操作は難しくないだろう。リモコンだってオモチャのラジコンみたいだ)

 

 

そう安易に考えてしまったのが本当に悔やまれる。

 

 

しかし後悔とはそういうものだ。

先には立たないのが常である。

もし立ったら、それは後悔ではなく先悔だ。

 

 

そんな言葉は、ない。

 

 

 

 

異変はすぐにやってきた。

 

 

タワークレーンを右旋回させ、次にジブ(画像赤と白の部分)を少し倒して、フック(画像黄色部分)の垂れ下がった先端部分を鉄筋が置かれた場所の真上、上空10mほどの位置に合わせた。

 

 

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鉄筋に玉掛けしてワイヤーを引っ掛けるため、フックを巻き降ろそうとした時のことである。

 

 

「あれ…なんで動かないんだ?」

 

 

さっきまでリモコンのボタン操作通りに動いていたクレーンが言うことを聞かない。

 

 

それどころか、しばらくするとゆっくり旋回を始めた。

 

 

(ヤバ…なんか変なとこいじって壊しちゃったかな?)

 

 

焦る私は、リモコンのボタンを滅茶苦茶に押してみるがタワークレーンにリモコンの指示は届かない。

ボタンを押した時の指の感触も最初とは違って、押し込んだ時「カチッ」となる感じが指に伝わってこない。

 

 

電池切れかなぁ…などと思いながら、それでもリモコンのボタンを何度も押しながら上空で旋回するクレーンを見上げていると異様な光景を目にした。

 

 

ようやく旋回を止め、ほんの刹那、私を安心させたクレーンは、今度は何故かゆっくりと上に伸び始めた。

 

 

植物が成長する様子を早回しのビデオ で見ているような感じだ。

構造的にあり得ない動きである。

 

 

地面からニョキニョキ伸びているのかと思ったが、私が立っている位置からは、クレーンの根元部分が死角になっているので、そうなっているかは分からない。

 

 

それともマストの頂上、先端から新しいマストが芽吹くように伸びているのだろうか。

 

 

異様な光景に、ただ呆然とするばかりであったが、ようやく我に返り監督を呼びに走った。

 

 

「すみません!タワークレーンがなんかおかしいんです!どうしましょう!」

 

 

 

半分パニックになりながら呼びかける私をゆっくり振り返った監督は上空を見上げ

 

 

「ああ…随分伸びたねぇ」

 

 

 

と、眩しそうに目を細めて言った。

 

 

「え?…な、なんなんですあれ?なんで伸びるんですか?タワークレーンてあんなんでしたっけ?」

 

 

「ちょっと今忙しいからさ…後にしてくれるかな。クレーンは任せたから、ちゃんと見張っといてよ」

 

 

 

随分呑気である。

そういうもんなのか?と腑に落ちないまま、元の位置に戻りクレーンを観察する。

 

 

周囲の高層ビルやマンション群とほぼ同じ高さになったところで、ようやくマストの成長は止まったようだ。

 

 

 

すると今度は、ジブの部分が消防のハシゴ車のように伸び始めた。

ジブの先端部分が、さして広くない敷地を、あっという間にはみ出してズンズン伸びる。

 

 

そしてゆっくりとジブが倒れタワークレーンは直角の巨大なお化けに形を変えた。

 

 

 

私は嫌な予感した。

 

 

(これがさっきのように旋回を始めたら、周りの高層ビルやマンションに接触してしまう…)

 

 

リモコンのボタンは、いつのまにか発光ダイオードが付いていて「左」「右」「起」「伏」「上」「下」「止」「警」の全てのボタンが真っ赤な光を妖しく放っていた。

 

 

私はリモコンを投げ捨て、再び監督のもとに走った。

 

 

「ヤバいっすよ監督!このままじゃ大災害が発生しちゃいます!なんとかしてください!」

 

 

しかし監督は、変わり果てたタワークレーンを一瞥すると、私の顔を見てニヤニヤしながら答える。

 

 

「あ〜あ、あんなにしちゃって。こりゃ君の言う通り大災害になっちゃうな。どうやって責任取るつもりなの?」

 

 

「そ、そんな…」

 

 

 

無理やり頼み込んで私に無資格作業を押し付けたのは監督の方ではないか。

 

 

しかし、それに乗っかってしまった私にも確かに責任はある。

 

 

何をどうしていいか分からないし、どうしようもないことは分かっていたのだが、タワークレーンの根元に向かった。

 

 

私がそこに辿り着くと同時に、果たして『恐怖のタワークレーン』は、またゆっくりと旋回を始めた。

 

 

「あぁ…やっぱり…」

 

 

 

絶望的な気持ちになり、それでも目を離すことができない私は、タワークレーンのジブと隣のビルの距離が徐々に縮まってゆくのを指を咥えて見ていた。

 

 

(ぶつかる!)

 

 

 

ズウゥゥゥン

 

 

 

鈍い音が空気を振動させた。

地面まで揺れた気がした。

 

 

ビルの壁面に当たり、一度は停止したクレーンだが、低い唸り声をあげながら出力を上げ、メキメキとビルに食い込み、10階あたりのフロアをエグりながら旋回を続ける。

 

 

(なんてこった…いや、こんなことが起こるわけがない…そうだ!これは夢だ!)

 

 

 

そう確信した私は、なぜか頰ではなく尻を思いっきりつねった。

 

 

しかし、尻だからなのか、さして痛くもなく、何度つねっても目が覚めることはない。

 

 

のちに冷静に考えてみれば、その行為は「痛みを感じることで目の前の出来事が夢ではなく現実である」と確認するための行為だ。

 

 

夢から覚めるためにやることではない。

 

 

 

しかし、その時の私はそんな風に考えることが出来ず、やはりこれは夢ではなく現実なんだと、さらに深い絶望感と恐怖と共に覚悟した。

 

 

タワークレーンはビルを貫通すると、今度はジブを斜め下に目一杯倒し、現場に面した幹線道路に先端部分を降ろしたまま、物凄いスピードでジブを左右にブンブン振り回した。

 

 

けたたましいクラクションと爆発的な衝撃音。

仮囲いで見えないが、その凄惨な状況は私の脳裏にハッキリと浮かんだ。

 

 

あちこちで上がる悲鳴と呻き声が、私に尋常でない量の冷や汗と真っ直ぐ立っていられないほどの足の震えをもたらした。

 

 

しばらく暴れたクレージークレーンがジブをゆっくりと起こし、毒ヘビのように鎌首を掲げると、ジブの先端付近には、へしゃげた乗用車やワゴン車がめり込んで張り付いている。

 

 

遠くから聞こえる救急車とパトカーのサイレンの音。

 

 

私は恐怖に耐えきれなくなり、そのまま意識を失ってしまった。

 

 

 

目が覚めた。

グッショリと汗をかいている。

 

 

建築現場でも病院のベッドでもなく、そこは自宅のベッドだった。

 

 

隣では息子のKが聞こえない寝息を立てている。

 

 

「なんてリアルな夢なんだ…」

 

 

私はホッとするより先に、そのことに心底驚き、続いてこう思った。

 

 

「ウッシッシ!これはブログに書けるぞ!」

 

 

早速飛び起きてタブレットの画面を開くのだった。

 

 

 

 

エピローグ

 

最後までお付き合いくださいましてありがとうございます。

途中から現実でないことに気づかれたでしょう。

もしかしたら夢日記であると分かった方もいらしたかもしれませんね。

 

 

「序」は、後から創って前置きとして付け加えたのですが「破」と「急」は、ほぼ100%そのまんまの内容です。

 

 

普段ほとんど夢を見ることがなく、見たとしてもお決まりの3パターンしかない私は、そのリアルさと新作の登場に本当に驚きました。

 

 

心理学を専攻されていたなど「夢判断」に精通されている方がいらっしゃいましたら、ぜひ分析してもらいたいものです。

 

 

ちなみに私が見る3つの夢パターンは

 

  • 大学の卒業試験に落ちて留年する夢
  • 無免許運転で警察に捕まる夢
  • 限りなくエロい夢

 

の3つですww

 

 

以前は、うつ病の原因となった会社での「果てしなく終わらない仕事に延々と追われる夢」というのがあったのですが、ここ数年は見ていません。

 

 

高校の時、友人のバイクを借りて無免許運転をし、警察に捕まったのは事実ですが、留年もしていないですし、エロいことなど露ほどにも考えたことがないのに変ですよね。(嘘ぴょ〜ん( ̄▽ ̄))

 

 

でもこの夢、現実じゃなくてホント良かったです。

マジ で泣きそうになりましたもん。

 

 

皆さん

くれぐれも無資格作業は謹んでくださいね。

それと不安全行動も厳禁です。

 

 

それでは今日も安全作業で頑張ろう!

ご安全にっ!

٩( ᐛ )و

 

 

 

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