チャリ通は常に向かい風…もちろん人生も!

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ガードマン味玉のFunnyな毎日♬・Season2 第4話『Cに恋する5秒前』

前回までのあらすじ

 

謎のプレミアムJK『マリアちゃん』に『JKスカートセーフティング』を試された赤鹿。危うく熱中症になりかけたが、大量のJKが下校する裏路地に出来る新しいゲートを担当したい!というプリミティブなモチベーションが彼を救った。

ゲートが新設されるまでは、赤鹿とふたりで、ゲートができた後は、もうひとり加えた3人体制で現場を受け持つことになった味岡玉夫(通称味玉)は、果たして何事もなく業務を遂行できるのか?

ま、出来るわきゃないわな。

 

※第1話から読みたい方はコチラ↓

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連載アホ小説  

ガードマン味玉のFunnyな毎日♬・Season2

第4話  Cに恋する5秒前

 

 

持ち前のアホエロパワーで熱中症から立ち直った赤鹿が現場に来て、今日で1週間が終わる。

 


初日の月曜日以外は、何事もなく過ぎ去ったようだ…多分。

 


なぜ多分なのかというと…

 

 

南側の第2ゲートが出来るのは来週からだというのに、赤鹿は事前調査だと言って、ずっと南側でウロウロしていたのだ。

 

 

北の第1ゲートから離れることができない味玉は、赤鹿の詳細な行動は分からない。

 

 

休憩時間に様子を窺うこともできるが、貴重な休憩時間を、あんなアホに費やすことがバカバカしくて、それはしていない。

 

 

いやむしろ、またトラブルに巻き込まれるのがイヤで、正直見たくなかったのだ。

 

 

それに、赤鹿の言い草には心底ハラが立った。

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「味玉ぐ〜ん、んじゃオラァ2ゲートに行ってくるがらぁ〜ダンプの誘導頼んだよぉ」

 

 

「はぁ?なに言っちゃってんだろうね、このアホエロオヤジは、とうとうボケまで入ったか?2ゲートが出来んのは来週だよ。今週いっぱいは北ゲートのみ」

 

 

しかし、赤鹿は涼しい顔で続ける。

 

 

「んなこたぁ分かってるだ。事前調査だべ。ゴミ収集車が何時くらいに来るか、近隣さんの車出勤・帰宅時間は何時頃か、障がい者マークの付いた車を駐車しているお宅がないか、生協の配達や訪問介護の車両が来ないか、来るなら何曜日の何時頃か…その他諸々、把握しとかねば、車両の搬入時間が調整出来ねっぺ」

 

 

「んぐっ!た、確かにそうだけど…」

 

 

 

赤鹿の珍しく真っ当な言い分に、味玉は返す言葉もない。

 

 

「やれやれ…味玉ぐんともあろう人が、そんなごとも分かんねようじゃ、この警備会社も落ちたもんだべぇ」

 

 

「だっ、だけど、そんなもんは、来週になって誘導やりながら把握していけばイイじゃんか。だいたい事前調査なんか出来る現場ないじゃんよ。いつもいきなり配置されて、いきなり本番スタートなんだからさ」

 

 

「そりゃ、そん時はしょうがね。しかし、今は事前調査できる。オラァ目の前に出来ることがあるならばやる。義を見てせざるは勇無きなりだぁ」

 

 

 

(このクソオヤジ!どうせ大量下校のJK集団が目当てのくせに!)

 

 

「だけど、あんたガードマンの本分はJKのスカートを風から守ることだって言ってたじゃんよ!誘導はオマケだって。よくそんなまともなこと恥ずかしげもなく言えんね」

 

 

 

赤鹿が憐れむような目をして言う。

 

 

「味玉ぐん…そんな過ぎ去った過去の細かいごと言ってっとオンナにモテねぞ」

 

 

(こ、こ、このクソオヤジめっ!)

 

 

「勝手にしろっ!」

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

そうして、ほとんど顔を合わさず1週間が過ぎた。

 

 

昼メシは、同じラーメン屋に行くが、相変わらず味玉を大量に(20個)トッピングする赤鹿と一緒にされたくないので、カウンターの端っこと端っこに離れて座る。

 

 

そして土曜日の今日、15時に旧建物の解体に使っていたユンボを回送車に乗せて搬出し、解体作業は全て終了した。

 

 

工事工程が無事にひと段落したからだろう。ニコニコ顔の監督がやってきて上機嫌に言う。

 

 

「味岡くん。今日はもう何もないから上がっていいよ!来週から忙しくなるし」

 

 

「え?!ホントですか!ラッキー♬」

 

 

「うん。赤鹿さんもね、初めはどうなることかと思ったけど、南側の状況とかすっかり把握してくれて頼もしいよ。あれなら安心して任せられる」

 

 

「いや監督、あのアホエロオヤジは、そんなんじゃなく…」

 

 

 

(でも、確かに頼り甲斐はある。何も考えずに、ボーーーーっと突っ立ってるガードマンが多い中、そこまで近隣の交通状況に気を配れる人間はそうはいない。誘導もバッチリできるし…いつまでもヘソ曲げてないで仲直りすっかな。来週から協力して仕事やんなきゃだし)

 

 

「…そうですね。確かに赤鹿は優秀なガードマンです。一部を除けば、ですけど(笑)」

 

 

「うん?まぁ、とにかく頼りにしてるよ。んじゃ、来週もよろしくねっ」

 

 

 

監督も今日は早上がりして、どこかに飲みに行くのだろうか?いや、あのご機嫌ぶりは、同伴アフターキャバクラだな…。

 

 

そうだ!俺も仲直りを兼ねて、久々に赤鹿さんと飲みに行くか!

 

 

 

味玉は、南側でJK相手に奮闘しているであろう赤鹿に声をかけに行った。

 

 

今日は土曜日なので学校は休み。部活帰りのJKがチラホラ通るのみだ。ジャージ姿の子がほとんどのようで、赤鹿は苦虫を噛み潰したような顔で仁王立ちしていた。

 

 

(プッ!赤鹿のやつ…ザマァ見ろってんだ!)

 

 

「おぉ〜い!赤鹿さん。監督がもう上がっていいってよ〜!スカートのJKもいないし、久しぶりに飲みに行かない?例のお通しが『たけのこの里』で、注文してから隣のスーパーに食材仕入れに行くふざけたオヤジがやってる焼き鳥屋

 

 

(※シーズン1参照)

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「ん〜いいねぇ…って言いたいとこだけど、さっぎマリアちゃんから『らいん』さ来て、ジムに遊びに来ねか?って言われただぁ。んだもんでおら飲みには行げね」

 

 

「ナ、ナヌっ?!マリアちゃんからlineだとっ!グヌヌ…こ、このアホエロクソオヤジめ…いつの間に…」

 

 

「そうだ、味玉ぐんも一緒に行ぐか?」

 

 

「え?いいの?わ〜い!行く行く〜♡」

 

 

 

 

現場からバスで10分くらいのところに、そのボクシングジムはあった。大通りに面した路面店で、全面ガラス張りになっているため、ジムの様子がよく見える。

 

 

マリアちゃんは、既にひと通り練習を終えたようで、トレーニング後のストレッチをしていた。

 

 

ビッショリと汗をかいたTシャツからブルーのスポーツブラが薄っすら透けている。

 

 

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「赤鹿さん…ありゃCだな」

 

 

「んだな、間違いね」

 

 

 

土曜日だが、他に練習生はいない。

聞けば、まだオープンして間もないらしい。

 

 

ガラス越しにマリアちゃんを眺めてニヤニヤしているふたりに気づいた『C -cup』がツカツカと歩いてきた。

 

 

「さっそく来たね…って、何ニヤついてんだよ!この変態エロオヤジどもめっ!竹信さん紹介するからさっさとこっち来な!」

 

 

 

言われるがままジムに入ると、リングの奥に見るからにガラの悪そうな坊主頭のオッサンがいる。

 

 

「こちらが竹信さん。今はこんな身体だけど現役の時は、フェザー級だったのよ。新人王も獲った元日本ランカーよ」

 

 

「よろしくお願いしますっ!」

「よろすくお願いしますっ!」

 

 

ふたりして頭を下げると、竹信さんはニカッと笑うと

 

 

「まぁまぁ、そう固くならないで。気軽に楽しくやろうよ!」

 

 

と気さくに言ってくれた。

笑うと嘘のように柔和な顔になる。

 

 

「マリアちゃんから話は聞いてるよ。入会希望なんだって?」

 

 

「い、いえ!ちょっと見学に…」

 

 

味玉が言いかけたが、赤鹿がかぶせるように答える。

 

 

「はいっ!よろすくお願いしますだぁ!」

 

 

「え?赤鹿さん入会すんの?」

 

 

驚いて赤鹿の顔を振り返ると、興奮したのか目が血走っていて、かなりイっちゃってる。

 

 

「んだ!おらこの前で思い知っただぁ。やっぱす自己流じゃ限界があるべさ。プロの指導をうげて1流のガードマンになるだぁ」

 

 

 

(…いやいや。ガードマンとボクシングは関係ないから…( ̄▽ ̄;)💧)

 

 

「んじゃ、約束通りスパーやろっか。1発でも俺にクリーンヒット当てたら入会金無料ね」

 

 

 

 

何がなんだか分からないうちに、赤鹿と竹信さんのスパーリングの準備がされた。

 

 

軽くアップして、ヘッドギアをつけた赤鹿に、コーナーポスト越しにヒソヒソ声で話しかける。

 

 

「赤鹿さん。いくらアンタが鍛えてるって言っても、元プロ、しかも日本ランカー相手に敵うわけないじゃん。やめときなよ」

 

 

「うんにゃ。おらの実力を見てもらういい機会だぁ。まぁ見ててけろ」

 

 

 

ゴング代りのブザーが鳴る。

 

 

竹信さんは、丸っこい身体からは想像できない軽いステップで、距離を窺っている。

 

 

赤鹿は、例のしっかりと腰を落とした姿勢でまんじりともしない。

 

 

竹信さんが軽めにジャブを出す。赤鹿はガードしているとは言え、全く避けるそぶりもなく全部まともに食らってる。

 

 

パンチが重そうだ…これは効くぞ。

 

 

 

1分経過

相変わらず赤鹿は、全く動かない。

竹信さんも困惑気味だ。

全く手がでないド素人相手に、どこまでやっていいのか思案顔だ。

 

 

(何やってんだよ!赤鹿さん!手を出さなきゃ!)

 

 

じれったく見守る味玉の想いを他所に、そのまま第1ラウンドが終了した。

 

 

コーナーに戻った赤鹿に激しく詰め寄る。

 

 

「どうしたんだよ!え?!全く手が出てねぇじゃんよ!赤鹿さん自慢の『10cmの爆弾』をお見舞いしてやれよ!」

 

 

「味玉ぐん…ダメだ。オラァ生まれてこの方、人さ殴ったことねだ。どうしても手さ出ね」

 

 

「マ、マジすかポリス!?」

 

 

「すかす、このままじゃ入会金無料がパーだぁ。先週フィリピンパブで1時間延長3回もすたから金がねぇだよ、どうすべか…」

 

 

「アンタまだフィリピンパブなんか行ってんのかよ。また奥さんに張っ倒されるぞ」

 

 

「カカァは、娘が結婚すた後出てった。オラァやもめだ。んでもって、今ぁマリアちゃん一筋だぁ」

 

 

「は?え?そうなの…って、どこまでスットコドッコイなんだよアンタは。50過ぎの金もねぇおっさんガードマンと、ピチピチCカップJKが付き合えるわけねぇだろ。目を覚ませよ」

 

 

「んなこたぁ分かってるだ。おらぁただ、マリアちゃんのスカートを風から守れればそれでエエんだぁ……あ、そうだ。」

 

 

 

赤鹿は、何か思いついたようで、リングから降り、奥のロッカールームに引っ込むと、なにやらグローブで器用に掴んで持ってきた。

 

 

「竹信さん、申す訳ねぇがトランクスを脱いで、これを履いてくんねか?」

 

 

そう言って差し出した赤鹿の両グローブから、JKのスカートがヒラヒラ揺れている。

しかも相当短い。

 

 

(な、何をバカな…)

 

 

呆れる味玉。

見れば、マリアちゃんも頭を抱えて下を向いている。

 

 

「ふ…ぅうん、何かな?それは…」

 

 

 

笑顔を作ろうとしているが、さすがの竹信さんも、こめかみがピクついていて、頰は引きつっている。

 

 

「おねげぇしますだ!おらぁどうすても入会金無料をゲットしたいだぁ!この通りだすっ!」

 

 

土下座せんばかりの赤鹿の必死さに竹信さんも渋々頷いた。

 

 

超ミニのJKスカートに姿を変えた竹信さんが再びリングに上がると、数ラウンド飛ばしたブザーが再び闘いの開始を告げた。

 

 

先ほどのラウンドとは打って変わって、竹信さんの動きは更にシャープになった。

本気モードだ。

 

 

そして、その動きに合わせて『ヒラリ、ヒラリ』とスカートがなびく。

 

 

赤鹿の動きも変わった。

目でスカートの動きを追いながら、時折ピクリ、ピクリと三角筋と上腕三頭筋が動く。

 

 

ヒリヒリとした距離の取り合いが続く…

 

 

 


そして、ついにその時は来た。

2ラウンド終了間際、5秒を残す時だった。

 

 

 


右に左にステップを踏んでいた竹信さんが、初めて前に踏み込み鋭いジャブを出す。

 

 

赤鹿はそれを見事なヘッドスリップで躱すと、ジャブの引き際に右ボディフックを合わせようとした。

 

 

竹信さんが素早いバックステップでそれをかわした時、ちょうどスカートの股間部分がヒラリとめくれブリーフが見えそうになる。

 


その瞬間

 

 


ドゴォォオオッ!!

 

 

 

凄まじい音がして、赤鹿の『10cmの爆弾』が竹信さんの股間にめり込む…

 


「あ。ローブロー…( ̄▽ ̄;)💧」

「あ。ローブロー…( ̄▽ ̄;)💧」

 


味玉とマリアちゃんの声が揃った。

 


竹信さんは、リングにもんどりうって倒れ、青い顔で冷や汗をかいている。

 


赤鹿は…

 


両手を大きく突き上げ、勝利のポーズ。

 

 

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(…あのバカ!)

 

 

 


数時間後…

 


あのあと、しばらくして復活した竹信さんに、ボッコボコに殴られ、原型をとどめないほど顔の形が変わった赤鹿と味玉、そしてマリアちゃんの3人で例の焼き鳥屋にいた。

 

 

今日のお通しはハッピーターンだ。

 


赤鹿はローブローながら「クリーンヒットはクリーンヒットだ!」と頑として譲らず、なんとか入会金無料をゲットした。

竹信さんも殴りすぎたと反省したのかも知れない。

 

 

入会祝いに飲みに行こうということになったのだが…

 

 


「いや〜!しかしマリアちゃんが一緒に来てくれるとはなぁ〜、おじさん嬉しいなぁ〜!」

 


「しょうがないじゃん。このアホエロオヤジ、こんなに打たれた後なのにお酒飲むって聞かないんだもん。打たれた後のお酒は厳禁!下手したら死ぬよ!マジで」

 


「うんうん、ちゃーんと見張っといてね、このアホエロオヤジを。僕はマリアちゃんの焼き鳥を頬張る姿を見ながら楽しく飲むから♡」

 

 


焼き鳥を頼んだが、案の定隣のスーパーに買い出しに行ったオヤジは、まだ戻ってこない。

 


『本日のおすすめカツオのタタキ』を頼んだら、ひとりも客がいないのに「今日は売り切れた」とのたまった。

 

 


「あ、そうだ!来週のもうひとりのガードマン、誰になったか長谷部に聞いてみよ」

 


味玉は、ふと懸念事項を思い出し、会社に電話してみる。

 

 

「あー味玉くん。やっと手配がついたよ。今どこの現場も忙しくてさ」

 


「ふぅん…で?誰になったの?」

 


「ふっふっふ…権田原さん♡

 

 

「・・・。(ガチャ!ツー…ツー…)」

 

 

 

思わず電話を切ってしまった。

 

 

が…

 


(権田原さんかぁ…ま、いっか…。)

 

 

 

権田原は、交通誘導警備業務2級試験のとき合宿所で一緒になったガードマンだ。

見事に試験に落ちて、当時所属していた警備会社に居づらくなった権田原さんは、味玉の誘いで、この警備会社に転職してきたのだ。

 

 

(※シーズン1参照)

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焼き鳥屋のオヤジは、まだ帰ってこない。

 


あーあ

赤鹿と権田原…

また波乱の現場生活が始まるなぁー!

 


しかし、それも来週の話。

今日は楽しく飲もう。

 


赤鹿を見張りながら、烏龍茶をちびちび飲むマリアちゃんを眺めながら、味玉はお銚子を傾けた。

 

 


うん。

なかなかイケるな。

ハッピーターン♡

 

 

 

 

第5話に続く…

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